2023伊豆 筏場周辺のシダ2

林内で大きな葉を広げるオニヒカゲワラビ。2023年7月14日 伊豆 筏場周辺 
 7月14日、筏場・地蔵堂周辺を再度歩いてきました。前回4月22日に歩いた時はまだ胞子が観察できないシダが多かったので、再度胞子の採取・観察を目的に同じ地域を歩いてきました。新たにいくつかのシダが観察されたこと、胞子の観察により新たなことがわかり、前回の報告を訂正しなければならないことがありました。

ヒカゲノカズラ Lycopodium clavatum var. nipponicum
ヒカゲノカズラ科 ヒカゲノカズラ属

川沿いの岩上や岩が露出する砂礫地に群生するヒカゲノカズラ。
川沿いの岩が露出する砂礫地に群生するヒカゲノカズラ。2023年7月14日 伊豆 筏場周辺 
①川沿いの岩が露出する砂礫地に群生するヒカゲノカズラ




ヒロハノトウゲシバ Huperzia serrata f. intermedia
ヒカゲノカズラ科 コスギラン属

川沿いの日陰の崖に生育。葉は紡錘形で長さは2㎝に達する。
川沿いの日陰の崖に生育するヒロハトウゲシバ<del>オニトウゲシバ</del>。2023年7月14日 伊豆 筏場周辺





ハイホラゴケか Vandenboschia kalamocarpa
コケシノブ科 ハイホラゴケ属

ウエットな空気に包まれた渓谷沿いの日陰の切り立った岩壁下部で数か所で観察。葉の大きさは5~13cm。羽片は立体的にならず葉身は平面的。
岩壁下部に群生するハイホラゴケか。2023年7月14日 伊豆 筏場周辺 
①岩壁下部に群生するハイホラゴケか

ハイホラゴケか、葉の大きさは5~9cm。2023年7月14日 伊豆 筏場周辺 ハイホラゴケか、葉の大きさは5~9cm。2023年7月14日 伊豆 筏場周辺 
②ハイホラゴケか、根茎および葉のつき方
③ハイホラゴケか、葉

ハイホラゴケか、胞子のう群および包膜。2023年7月14日 伊豆 筏場周辺 ハイホラゴケか、全体に胞子数は少なく、充実した胞子は8個程度確認、その他の胞子はは歪であったり空の胞子。2023年7月14日 伊豆 筏場周辺 
④ハイホラゴケか、胞子のう群および包膜
⑤ハイホラゴケか、1つの胞子のうを壊したようす





イズハイホラゴケ Vandenboschia orientalis
コケシノブ科 ハイホラゴケ属

 前回の報告では、雑種のセイタカハイホラゴケとして掲載したシダですがイズハイホラゴケに訂正させていただきます。スギ林内、水が染み出るウエットな岩場、15~30㎝の葉を岩上岩壁に群生、胞子を観察した葉は30㎝程度。胞子を観察すると、形・大きさが整った胞子が60個程度観察でき、有性生殖種と推定されイズハイホラゴケであることがわかりました。
 以前、詳しい方からお話をお聞きしたことを再度載せさせていただきます。
「イズハイホラゴケはオオハイホラゴケとハイホラゴケのゲノムを併せ持つ雑種起源の4倍体有性生殖種。同じゲノムを併せ持つセイタカホラゴケは3倍体雑種。」
非常にウエットな空気に包まれた岩壁に生育するイズハイホラゴケ。2023年4月22日 伊豆 地蔵堂 
①林内の水が滴る傾斜のきつい岩屑地に群生するイズハイホラゴケ

イズハイホラゴケ、大きい葉は30㎝を超える。2023年7月14日 伊豆地蔵堂 イズハイホラゴケ、葉身下部の羽片は間隔を空けてつける。2023年7月14日 伊豆地蔵堂 
②イズハイホラゴケ 
③イズハイホラゴケ、羽片

イズハイホラゴケ、羽片。2023年7月14日 伊豆地蔵堂 イズハイホラゴケ、羽片。2023年7月14日 伊豆地蔵堂 
④⑤イズハイホラゴケ、羽片

イズハイホラゴケ、包膜。2023年7月14日 伊豆地蔵堂 イズハイホラゴケ、包膜。2023年7月14日 伊豆地蔵堂 
⑥⑦イズハイホラゴケ、包膜

イズハイホラゴケ、胞子を観察した胞子のう群および包膜。2023年7月14日 伊豆地蔵堂 
⑧イズハイホラゴケ、胞子を観察した胞子のう群および包膜

イズハイホラゴケ、胞子数は58個程度確認。胞子の大きさ・形は整い有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆地蔵堂  イズハイホラゴケ、胞子数は53個程度確認。胞子の大きさ・形は整い有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆地蔵堂 
⑨⑩イズハイホラゴケ、1つの胞子のうをこわしたようす

イズハイホラゴケ、胞子数は50個程度確認。胞子の大きさ・形は整い有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆地蔵堂
⑪イズハイホラゴケ、1つの胞子のうをこわしたようす

オオハイホラゴケとイズハイホラゴケの葉形の比較。2023年7月14日 伊豆地蔵堂 
⑫オオハイホラゴケとイズハイホラゴケの葉形の比較





オオハイホラゴケ Vandenboschia striata
コケシノブ科 ハイホラゴケ属

非常にウエットな空気に包まれた岩壁や岩棚に群生。葉の大きさは20~30㎝(葉身の幅は8~10㎝)、大きく幅の広い葉を広げる。
ウエットな空気に包まれた岩棚の上に30㎝を超える葉を立ち上げ群生するオオハイホラゴケ。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
①ウエットな空気に包まれた岩棚の上に30㎝を超える葉を立ち上げ群生するオオハイホラゴケ

オオハイホラゴケ、根茎部に定規を立てて計測。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 オオハイホラゴケ、根茎部に定規を立てて計測。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
②③大きな葉は30㎝を超えるオオハイホラゴケ

オオハイホラゴケ、葉。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
④オオハイホラゴケ、葉

オオハイホラゴケ、葉身下部の羽片。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 オオハイホラゴケ、羽片および胞子のう群。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
⑤オオハイホラゴケ、葉身下部の羽片
⑥オオハイホラゴケ、羽片および胞子のう群

オオハイホラゴケ、包膜および胞子のう群。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 オオハイホラゴケ、包膜および胞子のう群。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
⑦⑧オオハイホラゴケ、包膜および胞子のう群

オオハイホラゴケ、胞子を観察した胞子のう群および包膜。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
⑨オオハイホラゴケ、胞子を観察した胞子のう群および包膜

オオハイホラゴケ、胞子数は55個程度確認。胞子の大きさ・形は整い有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 オオハイホラゴケ、胞子数は55個程度確認。胞子の大きさ・形は整い有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
⑩⑪オオハイホラゴケ、1つの胞子のうをこわしたようす

オオハイホラゴケ、胞子数は55個程度確認。胞子の大きさ・形は整い有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
⑫オオハイホラゴケ、1つの胞子のうを壊したようす

オオハイホラゴケ、胞子は球形~おむすび形。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 オオハイホラゴケ、胞子は球形~おむすび形。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
⑬⑭オオハイホラゴケ、胞子の形





ムクゲシケシダ Deparia kiusiana
メシダ科 シケシダ属

前回の報告では、胞子葉はまだ出ていませんでした。今回は胞子を観察することができました。
胞子のようすについて、シケシダの仲間では雑種でなくても多少胞子の大きさ・形が乱れることはあるのですが、ムクゲシケシダではまるで雑種ではないかと思うほど乱れていることがあります。以前、箱根で初めてムクゲシケシダに出会ったときのことですがその頃は胞子を観察し始めてまだ観察数が少なかったため、どの株も胞子が乱れていて雑種に違いないと考え、ムクゲシケシダとほかのシケシダ類との雑種をいろいろな組み合わせを考えました。ところが胞子が乱れていることがムクゲシケシダの特徴そのものであることがわかりました。胞子が乱れることはシケシダ類の分類の難しさに関係しているのかもしれません。
スギ林内の沢沿いに生育するムクゲシケシダ。立ち上がっているのが胞子葉。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
①スギ林内の沢沿いに生育するムクゲシケシダ

ムクゲシケシダ、胞子葉の葉柄。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
②ムクゲシケシダ、胞子葉の葉柄

ムクゲシケシダ、胞子葉の葉身。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ムクゲシケシダ、胞子葉の羽片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
③ムクゲシケシダ、胞子葉の葉身
④ムクゲシケシダ、胞子葉の羽片

ムクゲシケシダ、包膜の辺縁は激しくほつれる。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ムクゲシケシダ、包膜の辺縁は激しくほつれる。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
⑤⑥ムクゲシケシダ、包膜

ムクゲシケシダ、包膜上には毛が生える。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ムクゲシケシダ、包膜の辺縁は激しくほつれる。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
⑦ムクゲシケシダ、包膜上の毛
⑧ムクゲシケシダ、包膜

ムクゲシケシダ、胞子数64個確認。そのうち特に小さく歪な胞子は11個。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ムクゲシケシダ、胞子数63個確認。そのうち特に小さく歪な胞子は33個。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
⑨⑩ムクゲシケシダ、1つの胞子のうを壊したようす

ムクゲシケシダ、胞子数64個確認。そのうち特に小さく歪な胞子は38個。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ムクゲシケシダ、胞子数62個確認。そのうち特に小さく歪な胞子は31個。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
⑪⑫ムクゲシケシダ、1つの胞子のうを壊したようす

ムクゲシケシダ、胞子のようす。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
⑬⑭ムクゲシケシダ、胞子のようす





シケシダ Deparia japonica
メシダ科 シケシダ属

林縁に50㎝はある立派なシケシダであった。やや光沢があり、胞子を調べてみた。
林縁の草むらに生育するシケシダ。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
①林縁の草むらに生育するシケシダ

シケシダ、包膜。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 シケシダ、包膜。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
②③シケシダ、包膜

シケシダ、胞子数は63個確認、大きさ・形は整い有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 シケシダ、胞子数は63個確認、大きさ・形は整い有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
④⑤シケシダ、1つの胞子のうを壊したようす





セイタカムクゲシケシダ(セイタカシケシダ×ムクゲシケシダ)Deparia dimorphophylla × D. kiusiana
メシダ科 シケシダ属

セイタカシケシダとムクゲシケシダの雑種と推定される。林道のすぐわきに群生。胞子葉は大きく90㎝に達する。胞子葉の形は長楕円状披針形で羽片は間隔を空けてつける。ムクゲシケシダに似ている点は①葉柄や葉身に長い毛が密生する。②包膜は有毛。セイタカシケシダに似ている点は①胞子葉は大きく90㎝近くに達する。②包膜の辺縁は巻きこむ。
林道わきの林縁に群生するセイタカムクゲシケシダ。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
①林道わきの林縁に群生するセイタカムクゲシケシダ

セイタカムクゲシケシダ、葉柄~中軸には長い毛が密生する。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
③セイタカムクゲシケシダ、葉柄~中軸に密生する毛

セイタカムクゲシケシダ、栄養葉。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 セイタカムクゲシケシダ、胞子葉は1m近くになる。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
②セイタカムクゲシケシダ、栄養葉
③セイタカムクゲシケシダ、胞子葉

セイタカムクゲシケシダ、包膜は有毛、辺縁は巻きこむ。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 セイタカムクゲシケシダ、包膜は有毛、辺縁は巻きこむ。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
②③セイタカムクゲシケシダ、包膜

セイタカムクゲシケシダ、胞子はすべて大きさには大小があり形は歪で雑種と推定。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 セイタカムクゲシケシダ、胞子はすべて大きさには大小があり形は歪で雑種と推定。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
②③セイタカムクゲシケシダ、1つの胞子のうを壊したようす





セイタカシケシダ Deparia dimorphophylla
メシダ科 シケシダ属

スギ林床に生育。
スギ林床に生育するセイタカシケシダ2023年7月14日 伊豆筏場周辺
①スギ林床に生育するセイタカシケシダ




タニイヌワラビ Athyrium otophorum
メシダ科 メシダ属

樹木に覆われた川沿いの浸食崖に点々と生育していた。
林内を流れる川沿いの崖に生育するタニイヌワラビ。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺





カラクサイヌワラビ Athyrium clivicola
メシダ科 メシダ属

川のそばのスギ植林地に生育。確認できたのは1株。
川のそばのスギ植林地に生育カラクサイヌワラビ。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
①川のそばのスギ植林地に生育カラクサイヌワラ

カラクサイヌワラビ、葉身裏側。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 カラクサイヌワラビ、羽片裏側。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
②カラクサイヌワラビ、葉身裏側
③カラクサイヌワラビ、羽片裏側





ハコネシケチシダ(切れ込みが浅い無毛型)Athyrium crenulatoserrulatum × A. decurrentialatum
メシダ科 メシダ属


前回の報告では、まだ胞子が観察できなかった株です。胞子のう群は不稔の胞子のうをつけ胞子は全く観察できない様子で雑種の特徴を示していました。ハコネシケチシダの仲間といえます。
 ハコネシケチシダはシケチシダとイッポンワラビとの雑種といわれています。よく見られるハコネシケチシダは3回羽状中~深裂し植物体は有毛ですが、この地で観察された株は無毛・小羽片がほとんどきれこまない2回羽状複葉型です。
川沿いのスギ植林地林床に点在して群生するハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型)。2023年4月22日 伊豆地蔵堂周辺 ハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型)中軸および胞子のう群。2023年4月22日 伊豆地蔵堂周辺 
①川沿いのスギ植林地林床に点在して群生するハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型)
②ハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型)、中軸および胞子のう群

ハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型)葉身裏側。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 ハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型)羽片裏側。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
③ハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型)、葉身裏側
④ハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型)、羽片裏側

ハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型),どの胞子のうも不充実で不稔であることをうかがわせる。雑種と推定。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 ハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型),どの胞子のうも不充実で不稔であることをうかがわせる。雑種と推定。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
⑤⑥ハコネシケチシダ(2回羽状複葉・無毛型)胞子のう群





キヨタキシダ小羽片鋭頭型(トガリバキヨタキシダ:仮称)
メシダ科 ノコギリシダ属

前回の報告では、キヨタキシダとほかのDiplaziumとの雑種ではないかと考えて掲載したシダですが、胞子観察の結果は、雑種ではなく有性生殖種であることを推定させるものでした。
キヨタキシダ小羽片鋭頭型。2023年4月22日 伊豆 筏場
①キヨタキシダ小羽片鋭頭型

キヨタキシダ小羽片鋭頭型、小羽片。2023年4月22日 伊豆 筏場 キヨタキシダ小羽片鋭頭型、裂片基部の胞子のう群は長い。2023年4月22日 伊豆 筏場
②キヨタキシダ小羽片鋭頭型、小羽片
③キヨタキシダ小羽片鋭頭型、裂片基部の胞子のう群

キヨタキシダ小羽片鋭頭型、小羽片。2023年7月14日 伊豆 筏場 キヨタキシダ小羽片鋭頭型、小羽片裏側の胞子のう群。2023年7月14日 伊豆 筏場
②キヨタキシダ小羽片鋭頭型、小羽片
②キヨタキシダ小羽片鋭頭型、小羽片の胞子のう群

キヨタキシダ小羽片鋭頭型、胞子数は60個確認、大きさ・形は整い(内4個は形が小さいか歪)有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆 筏場 キヨタキシダ小羽片鋭頭型、胞子数は62個確認、大きさ・形は整い(内15個は形が小さいか歪)有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆 筏場
②②キヨタキシダ小羽片鋭頭型、1つの胞子のうを壊したようす

キヨタキシダ小羽片鋭頭型、胞子数は63個確認、大きさ・形は整い(内3個は形が小さいか歪)有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆 筏場 キヨタキシダ小羽片鋭頭型、胞子数は63個確認、大きさ・形は整い有性生殖種と推定。2023年7月14日 伊豆 筏場
②②キヨタキシダ小羽片鋭頭型、1つの胞子のうを壊したようす





キヨタキシダ Diplazium squamigerum
メシダ科 ノコギリシダ属

広く普通に見られるキヨタキシダ。大きさは50~80㎝。2回羽状複葉。小羽片の先端は鈍頭。生態写真は撮影し忘れました。
キヨタキシダ、葉身(一部)。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
①キヨタキシダ、葉身(一部)

キヨタキシダ、中軸の鱗片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 キヨタキシダ、羽片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 
②キヨタキシダ、中軸の鱗片
③キヨタキシダ、羽片

キヨタキシダ、小羽片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 キヨタキシダ、胞子のう群。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 
⑥キヨタキシダ、小羽片
⑦キヨタキシダ、胞子のう群

キヨタキシダ、胞子数は55個確認、大きさ・形は整い有性生殖種と推定される。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 キヨタキシダ、胞子数は63個確認、大きさ・形は整い有性生殖種と推定される。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 
⑥⑦キヨタキシダ、1つの胞子のうを壊したようす

キヨタキシダ、胞子1側面。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 キヨタキシダ、胞子1上面。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 
⑥⑦キヨタキシダ、胞子の形

キヨタキシダ、胞子2。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 
⑥⑦キヨタキシダ、胞子の形




イワヘゴか Dryopteris atrata
オシダ科 オシダ属

イワヘゴと思われるが鱗片のようすを観察していない。イヌイワヘゴの可能性もある。イワヘゴとイヌイワヘゴの判別については、いくつかの区別点があるが、その一つが葉身上部~頂部の羽片のようすである。イワヘゴの羽片は上部まで直線的であまり鎌曲しない。イヌイワヘゴは上部の羽片は鎌曲することが多い。

林内の遊歩道沿いに生育するイワヘゴ。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
①林内の遊歩道沿いに生育するイワヘゴ

イワヘゴ、葉身上部~頂部の羽片は開出してつき鎌曲せず直線的。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 イワヘゴ、羽片によっては鎌曲する葉も見られた。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
②③イワヘゴ、葉身上部~頂部の羽片

イワヘゴ、胞子のう群は小羽片全体につく。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
④イワヘゴ、胞子のう群




イヌイワヘゴ Dryopteris atrata
オシダ科 オシダ属

 イヌイワヘゴは、葉身上部~頂部の羽片は開出してつき鎌曲することが多い。
ウエットな沢近くに生育するイヌイワヘゴ。羽片数多く、葉は艶が無く白味を帯びる。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
①ウエットな沢近くに生育するイヌイワヘゴ

イヌイワヘゴ、葉身上部~頂部の羽片は開出してつき鎌曲する。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 イヌイワヘゴ、葉身下部羽片は短縮しない。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
②イヌイワヘゴ、葉身上部~頂部の羽片は開出してつき鎌曲する 
③イヌイワヘゴ、イヌイワヘゴ、葉身下部羽片

イヌイワヘゴ、胞子のう群は中肋寄り~中間につく。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 イヌイワヘゴ、胞子のう群は中肋寄り~中間につく。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
④⑤イヌイワヘゴ、胞子のう群





オオクジャクシダ Dryopteris dickinsii
オシダ科 オシダ属


沢沿いの林床や開けた林縁でも見られた。羽片は多少波打つ。

川のそばのスギ植林地に生育するオオクジャクシダとイヌイワヘゴ(左)。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
①川のそばのスギ植林地に生育するオオクジャクシダとイヌイワヘゴ(左)

オオクジャクシダ、葉柄の明るい鱗片。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 オオクジャクシダ、葉柄~中軸の明るい鱗片。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
②オオクジャクシダ、葉柄の明るい鱗片
③オオクジャクシダ、葉柄~中軸の明るい鱗片

オオクジャクシダ、葉身上部では胞子のう群は辺縁寄りにつく。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 オオクジャクシダ、葉身下部では胞子のう群は辺縁寄りにつく。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
④オオクジャクシダ、葉身上部の胞子のう群
⑤オオクジャクシダ、葉身下部の胞子のう群

オオクジャクシダ(左)とキヨズミオオクジャク(右)の羽片比較。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 オオクジャクシダ(左)とキヨズミオオクジャク(右)の羽片裏側比較。胞子のう群の付く位置は変わらない。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
⑥オオクジャクシダ(左)とキヨズミオオクジャク(右)の羽片比較
⑦オオクジャクシダ(左)とキヨズミオオクジャク(右)の羽片裏側比較





キヨズミオオクジャクか Dryopteris namegatae
オシダ科 オシダ属

※はじめ、キヨズミオオクジャクとして記載したが、胞子のう群の付く位置が葉身下部ではオオクジャクシダとそっくりであった。胞子のう群が辺縁寄りにつくキヨズミオオクジャクあるいは鱗片が黒いオオクジャクシダが存在する可能性がある。引き続き観察し報告する。
林内の森で1株確認。オオクジャクシダよりも少ないのかもしれない。羽片は波打たず平面的。ここで観察されたキヨズミオオクジャクは上記の⑦の写真は胞子のう群のつく位置はオオクジャクシダと変わらない。
川のそばの雑木林に生育するキヨズミオオクジャク。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
①川のそばの雑木林に生育するキヨズミオオクジャク

キヨズミオオクジャク、葉柄基部の鱗片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 キヨズミオオクジャク、葉柄中部の鱗片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 キヨズミオオクジャク、中軸の鱗片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
②キヨズミオオクジャク、葉柄基部の鱗片
③キヨズミオオクジャク、葉柄中部の鱗片
④キヨズミオオクジャク、中軸の鱗片

キヨズミオオクジャク、羽片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 キヨズミオオクジャク、葉身上部では胞子のう群は中間につく。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
⑤キヨズミオオクジャク、羽片
⑥キヨズミオオクジャク、胞子のう群





ハタジュクイノデ(アイアスカイノデ×イノデモドキ)Polystichum longifrons × P. tagawanum
オシダ科 イノデ属

ハタジュクイノデの胞子のう群の付き方は①最下羽片では耳垂に優先してつく(サイゴクイノデほど規則的ではない)。②葉身下部では小羽片の辺縁寄りにつき、③葉身上部では小羽片の中間につく。イノデ類が群生するスギ林内の崖に生育。
スギ林内の崖に生育するハタジュクイノデ。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 
①スギ林内の崖に生育するハタジュクイノデ

葉身上部では胞子のう群が中間につくハタジュクイノデ、葉身。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ハタジュクイノデ、羽片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 
②ハタジュクイノデ、葉身
③ハタジュクイノデ、羽片

ハタジュクイノデ、葉柄基部の鱗片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ハタジュクイノデ、葉柄基部の鱗片。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 
④⑤ハタジュクイノデ、葉柄基部の鱗片

ハタジュクイノデ、サイゴクイノデほど規則的ではないが最下羽片では耳垂付近に不規則につく。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ハタジュクイノデ、サイゴクイノデほど規則的ではないが最下羽片では耳垂付近に不規則につく。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 
⑥⑦ハタジュクイノデ、最下羽片の胞子のう群の付き方

ハタジュクイノデ、胞子のう群はやや辺縁~中間につく。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ハタジュクイノデ、葉身上部では胞子のう群は中間につく。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
⑧胞子のう群が中間につくハタジュクイノデ、葉身中部羽片の胞子のう群
⑨胞子のう群が中間につくハタジュクイノデ、葉身上部羽片の胞子のう群





{カタイノデモドキ(カタイノデ×イノデモドキ)Polystichum makinoi × P. tagawanum
オシダ科 イノデ属

カタイノデに似るが、中形のイノデの仲間であるカタイノデ(葉身35~45㎝)に比べるとずっと大きく60㎝程度あった。最下羽片の胞子のう群は耳垂似沿って1個ずつつくことが多く同定の目印の一つになる。

林内、川沿いの崖に生育するカタイノデモドキ。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
①林内、川沿いの崖に生育するカタイノデモドキ

カタイノデモドキ、葉柄の鱗片。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 カタイノデモドキ、葉柄基部の鱗片。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
②カタイノデモドキ、葉柄の鱗片
③カタイノデモドキ、葉柄基部の鱗片

カタイノデモドキ、葉身下部の胞子のう群は耳垂に優先して1個ずつつくことがある。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 カタイノデモドキ、葉身下部の胞子のう群は耳垂に優先して1個ずつつくことがある。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
④⑤カタイノデモドキ、葉身下部の胞子のう群

カタイノデモドキ、羽片。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 
⑥カタイノデモドキ、羽片

カタイノデモドキ、胞子のう群はやや辺縁寄りにつく。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺 カタイノデモドキ、胞子のうは弾けない。2023年7月14日 伊豆地蔵堂周辺
⑦カタイノデモドキ、胞子のう群
⑧カタイノデモドキ、中軸の鱗片および胞子のう群




そのほか
ツチアケビ。2023年7月14日 伊豆筏場周辺 ツチアケビ、花。2023年7月14日 伊豆筏場周辺
①②ツチアケビ