越生および高麗本郷で観察されたハチジョウベニシダ・ベニシダ・オオシマベニシダについて
黒山や笹郷(越生)・高麗本郷などで生育が確認される。スギ植林地林床に生育。どちらも標高は150~250mの範囲。群生地内にはベニシダやベニシダとの雑種であるオオシマベニシダもみられるので、ここでは高麗本郷の群生地からランダムに標本(羽片)を採取し胞子を観察した結果を報告します。写真でどこまで葉の質感(薄さ・厚さ・硬さ・柔らかさ)が伝わるかわかりませんが。
ハチジョウベニシダ Dryopteris caudipinna
オシダ科 オシダ属
(1)ハチジョウベニシダ、葉身
(2)ハチジョウベニシダ、羽片
(1)ハチジョウベニシダ、採取した羽片
(2)ハチジョウベニシダ、採取した羽片裏側
(1)ハチジョウベニシダ胞子1、胞子上面
(2)ハチジョウベニシダ胞子1、胞子側面
(3)ハチジョウベニシダ胞子2、胞子上面
(4)ハチジョウベニシダ胞子2、胞子側面
(1)ハチジョウベニシダ、葉身下部
(2)ハチジョウベニシダ、最下羽片
(1)ハチジョウベニシダ、観察した羽片
(2)ハチジョウベニシダ、観察した羽片裏側
(1)(2)(3)(4)ハチジョウベニシダ、1つの胞子嚢を壊したようす
(1)ハチジョウベニシダ、葉身
(2)ハチジョウベニシダ、葉身下部
(1)ハチジョウベニシダ、最下羽片
(2)ハチジョウベニシダ、小羽片
(1)(2)(3)ハチジョウベニシダ、1つの胞子嚢を壊したようす
(1)ハチジョウベニシダ胞子1、上面
(2)ハチジョウベニシダ胞子1、側面
(3)ハチジョウベニシダ胞子2、上面
(4)ハチジョウベニシダ胞子2、側面
ベニシダ Dryopteris erythrosora
オシダ科 オシダ属
標本1 ベニシダ(小羽片が短いtype)
ハチジョウベニシダ群生地内に生育するベニシダ。ベニシダは無融合生殖種であるため、個体変異が大きく羽片の形も個体によって相当変化する。
(1)ベニシダ胞子1、胞子上面
(2)ベニシダ胞子1、胞子側面
(3)ベニシダ胞子2、胞子上面
(4)ベニシダ胞子2、胞子側面
(5)ベニシダ胞子1、胞子上面
(6)ベニシダ胞子1、胞子側面
標本2 ベニシダ(小羽片が長いtype)
※小羽片の長いベニシダ。オオシマベニシダの可能性はないかと考えたが胞子がベニシダであることを物語っている。葉の質はベニシダ的で厚みがあり硬いが小羽片の形態だけでは判断できないことを教えてくれる個体である。最初、胞子のようすからベニシダとしたが、葉身下部の羽片が長くオオシマベニシダのようにも思われ、撮影した胞子写真を再度よく見ると胞子嚢2では小さく歪なものも含めて数えると39個確認でき雑種の可能性が出てきた。
ハチジョウベニシダ群生地内に生育するベニシダ。外部形態は、葉はベニシダ同様の厚みがあり葉身下部では周辺に生えているハチジョウベニシダ同様小羽片が長い。1つの胞子嚢を壊すと胞子数は30個程、大きさ・形が整いベニシダと言える。胞子嚢1では大きさ・形が整った胞子数が32個程度確認できたが胞子嚢2では小さく歪な胞子を含めると39個程度確認できる。ベニシダあるいはオオシマベニシダと思われる。
(1)ベニシダ、葉身下部の小羽片
(2)ベニシダ、葉身下部の小羽片裏側
(1)ベニシダ、胞子嚢1、1つの胞子嚢を壊したようす
(2)ベニシダ、胞子嚢2、1つの胞子嚢を壊したようす
(1)ベニシダ胞子1、胞子上面
(2)ベニシダ胞子1、胞子側面
(3)ベニシダ胞子2、胞子上面
(4)ベニシダ胞子2、胞子側面
(5)ベニシダ胞子3、胞子上面
(6)ベニシダ胞子3、胞子側面
(7)ベニシダ胞子4、胞子上面
(8)ベニシダ胞子4、胞子側面
オオシマベニシダ(ハチジョウベニシダ×ベニシダ) Dryopteris caudipinna × D. erythrosora
オシダ科 オシダ属
ハチジョウベニシダが群生している中に生育。葉柄の鱗片は明るめの黒褐色。葉の厚さはベニシダに似て厚みがあり、小羽片はやや長めで先まで平坦、長さが不揃い。周辺には小羽片が長めのベニシダもあり、区別が難しい。あくまで1株の個体の観察記録である。
(1)オオシマベニシダ、葉柄下部の鱗片
(2)オオシマベニシダ、葉柄の鱗片
(1)オオシマベニシダ、葉身
(2)オオシマベニシダ、小羽片