北アルプス北部にある高層湿原の周辺を歩いてきました。観察した花やシダを紹介いたします。
ホソバトウゲシバ
トウゲシバに比べ、葉(長さ5~8mm・幅2mm)は短く細い。狭い間隔で古い「むかご」や胞子のうがついている。標高の高いところで見られることがある。
①オオシラビソなどが生える林床に群生するホソバトウゲシバ
②ホソバトウゲシバ、葉は1cmに達しない。幅は2mm程度
③古い胞子のうやむかごをつけたホソバトウゲシバ
④ホソバトウゲシバ、胞子のうや「むかご」
イヌスギナ Equisetum palustre.
湿原の水辺に生育。葉の大きさは60㎝程度。葉の先端にツクシ(胞子のう穂)をつけ、側枝の付根の関節の長さが主軸の葉鞘より短い。
①②湿原の水辺に生育するイヌスギナ
①イヌスギナ、胞子のう穂
②イヌスギナ、側枝の付根の関節の長さと主軸の葉鞘の長さ
オオバショリマ Thelypteris quelpaertensis.
陽光を好むシダ。湿原の木道のそばに群生する。胞子のう群は円形、辺縁寄りにつく。
①明るい木道沿いに群生するオオバショリマ
②オオバショリマ、中軸の鱗片
ヤマソテツ Plagiogyria matsumureana.
樹林帯林床に普通にみられる。
①オオシラビソ林内に普通にみられるヤマソテツ
ヤマイヌワラビ Athyrium vidalii.
湿原ではあまり目にせず、山地でわずかに見られた。葉柄・中軸はえんじ色。包膜の辺縁にはわずかに鋸歯がある。
①山地の林縁で見られたヤマイヌワラビ
②ヤマイヌワラビ、包膜
タカネサトメシダ Athyrium pinetorum.
林縁や高茎草本に混ざって生育している。2回羽状複葉。葉の大きさは50~70㎝。葉身は25~35㎝でサトメシダの仲間に中では小形。葉柄は葉身より長い場合がある。葉柄・中軸は淡緑色。
①林縁に生育するタカネサトメシダ
②タカネサトメシダ、葉柄
③林縁に生育するタカネサトメシダ
④タカネサトメシダ、葉柄
標本2
⑤林縁に生育するタカネサトメシダ
⑥タカネサトメシダ、葉身
⑤タカネサトメシダ、葉柄基部の鱗片
⑥タカネサトメシダ、包膜
ミヤマメシダ Athyrium melanolepis.
湿原ではよく目にするシダ。40㎝~80㎝。葉柄の鱗片は黒色に近い。
①ミヤマメシダ
オクヤマワラビ Athyrium distentifolium
湿地の周りよりも岩場や岩が露出するところで観察。新葉が展開したばかりであった。ミヤマメシダによく似ているが、比べると葉が細かく分かれているためかより繊細な感じを受けた。葉柄の鱗片は淡褐色・膜質。葉は3回羽状複葉、黄緑色~鮮緑色。小羽片にも短柄があり、裂片は独立し深裂する。
カラクサイノデ Polystichum microchlamys.
大形のイノデ類はこの1種のみ見られた。やや明るい林縁に群生。夏緑性。
①林縁に生育するカラクサイノデ
②カラクサイノデ、葉柄の鱗片
シラネワラビ Dryopteris expansa.
林内や湿原の周辺に普通にみられる。
①林縁に生育するシラネワラビとミヤマワラビ(手前)
シノブカグマ Arachniodes mutica .
苔むしたオオシラビソの林床に普通にみられる。
①オオシラビソの林床に普通にみられるシノブカグマ
ヒオウギアヤメ ・ イワショウブ
①湿原に群生するヒオウギアヤメ
②湿原に生育するイワショウブ
ミヤマカラマツの仲間 ・ ミヤマカラマツ
③不明種。ミヤマカラマツの個体変異か
④林縁や湿原の周辺でよく目にするミヤマカラマツ