神岡鉱山周辺で
神岡周辺は古い地層で花崗岩や石灰質片麻岩などでできている。神岡鉱山は熱水鉱床の一つのスカルン鉱床でいろいろな有用な鉱物が取れたようである。
ミヤコヤブソテツ Cyrtomium yamamotoi
オシダ科 ヤブソテツ属
岩が露出する急傾斜の林床に生育していた。
岩が露出する急傾斜の林床に生育するミヤコヤブソテツ
ミヤコヤブソテツ、包膜
オオキヨズミシダ Polystichum mayebarae
オシダ科 イノデ属
岩壁や石組みの間で観察。ここで観察された複数の株では、葉身における胞子のう群の付く位置は葉身の全面あるいはやや葉身下部につきヒメカナワラビ的であったが、そのほかはオオキヨズミシダの特徴が現れていた。①葉柄が短い。鱗片が褐色。③胞子のう群は小羽片の中肋と辺縁の中間につく。
岩壁や石組みの間に生育するオオキヨズミシダ
①②オオキヨズミシダ、胞子のう群
オオバノハチジョウシダ Pteris terminalis
イノモトソウ科イノモトソウ属
スギ林内のウエットな沢沿いに生育していた。胞子のようすは観察できていないが頂小羽片が短くオオバノハチジョウシダと考えられる。
スギ林内のウエットな沢沿いに生育するオオバノハチジョウシダ
オオバノハチジョウシダ、羽片
タジマノキシノブミカワノキシノブ Lepisorus mikawanus
ウラボシ科 ノキシノブ属
付近の岩は石灰質片麻岩・石灰質グラノフェルス。片側が開けたやや明るい林縁の岩壁や石組みに20株程度生育。胞子のようすは整い有性生殖種と推定される。倍数性は6倍体とのこと。①葉柄は短いが明瞭、淡緑色で10~15㎜。②葉身は長さの割に幅が広い(長さ10~18cm、幅10~16㎜)。③葉縁には不規則に鋸歯状の突起ができることがあり、胞子のう群が辺縁(葉の表側からも見える)につくことがある。④葉は込み合ってつかず5~10㎜間隔を空けてつける。④根茎の鱗片はノキシノブやフジノキシノブに比べ先の方までやや幅の広い披針形⑤胞子のう群は中間~やや辺縁寄り。⑥有性生殖種。
タジマノキシノブミカワノキシノブが生育する付近の岩壁の岩石(石灰質片麻岩)
①②一部の葉では葉縁に胞子のう群がつくタジマノキシノブミカワノキシノブ
①林縁の岩壁に生育するタジマノキシノブミカワノキシノブ
②根茎からやや間隔を空けて葉をつけるタジマノキシノブミカワノキシノブ
①②幅の広い葉を間隔を空けてつけるタジマノキシノブミカワノキシノブ
①タジマノキシノブミカワノキシノブ、葉身裏側
②タジマノキシノブミカワノキシノブ、葉柄
①タジマノキシノブミカワノキシノブ、胞子のう群を覆う盾状鱗片
②タジマノキシノブミカワノキシノブ、盾状鱗片
①②タジマノキシノブミカワノキシノブ、根茎の鱗片(スケールの1目盛りは1mm)
※根茎の鱗片はノキシノブやフジノキシノブに比べ先の方までやや幅の広い披針形。
①タジマノキシノブミカワノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数は63個程度確認
②タジマノキシノブミカワノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数は64個程度確認
①タジマノキシノブミカワノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数は63個程度確認
②タジマノキシノブミカワノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数は64個程度確認
栽培 2024年7月7日
タジマノキシノブミカワノキシノブ、栽培後新しく展開した葉
①タジマノキシノブミカワノキシノブ、1㎝程度間隔を空けて根茎か伸びた新しい葉
②タジマノキシノブミカワノキシノブ、葉の辺縁部にできる鋸歯のような突起
中能登町久江の谷で
結晶質石灰(方解石)や石灰岩礫が石灰岩質の泥岩でセメントされた岩場で観察しました。オオヒメワラビやオウレンシダ、葉柄の長いシライトソウの仲間が生育していました。
ハクモウイノデあるいは毛深いミヤマシケシダ(能登型)あるいはハクモウイノデとミヤマシケシダとの雑種
メシダ科 シケシダ属
中能登町久江の谷ではこのシダが林床に非常に広範囲(一つの林床全体)に群生していた。この季節に観察される葉はほぼ胞子葉であった。葉の大きさな60~80㎝。葉柄や中軸にはハクモウイノデのように毛が密に生えるが、ハクモウイノデにしては葉身下部が徐々に短縮せず葉の形はミヤマシケシダに似て①線形(長長方形)、②葉の大きさに対して葉柄や中軸が華奢であった。③葉の質が薄い。
群生する華奢なハクモウイノデかもしれないが、こんなに群生するハクモウイノデは今までに見たことがない。ミヤマシケシダの仲間の第4の形か、あるいはハクモウイノデとミヤマシケシダとの雑種であろうか。胞子のようすはまだ調べていないが、広範囲に群生するようすから雑種ではなく有性生殖種と思われるが不明である。あらためて、季節を変えて観察してみたい。
スギ林床に群生するハクモウイノデあるいはハクモウイノデとミヤマシケシダとの雑種あるいは毛深いミヤマシケシダか(能登型)
①ハクモウイノデあるいはハクモウイノデとミヤマシケシダとの雑種あるいは毛深いミヤマシケシダか(能登型)、葉身下部
②ハクモウイノデあるいはハクモウイノデとミヤマシケシダとの雑種あるいは毛深いミヤマシケシダか(能登型)、葉柄や中軸に密生する白い鱗片
①②ハクモウイノデあるいはハクモウイノデとミヤマシケシダとの雑種あるいは毛深いミヤマシケシダか(能登型)、胞子のう群
オウレンシダ Sitobolium wilfordii
コバノイシカグマ科 イヌシダ属
石灰岩質の切り立った崖に長さ40~50㎝のオウレンシダが垂れ下がっていた。
①石灰岩質の崖周辺に生育するオウレンシダ
クロノキシノブか Lepisorus nigripes
ウラボシ科 ノキシノブ属
川沿いのスギ林内の石上に生育。胞子をようすを調べていない。
スギ林内の石上に生育するクロノキシノブか
クロヒメシライトソウ
石灰岩質の崖に生育する。シライトソウに比べ葉柄が長く葉は小判形ではなくヘラ形。
①石灰岩質の崖周辺に生育するクロヒメシライトソウ
石動山で
石動山付近はいろいろな地質があり、変成岩地帯では結晶質石灰岩(大理石)が見られた。
カラクサイヌワラビ Athyrium clivicola
メシダ科 メシダ属
①スギ林林床に生育するカラクサイヌワラビ
ホソバイヌワラビ Athyrium iseanum
メシダ科 メシダ属
スギ林林床に生育するホソバイヌワラビ
スギ林林床に生育するホソバイヌワラビ
コシノサトメシダ Athyrium neglectum
メシダ科 メシダ属
標本1
ウエットな沢沿いの林床に生育するコシノサトメシダ
標本2 標本3
①コシノサトメシダ標本2
②コシノサトメシダ標本3
サカゲイノデ Polystichum retrosopaleaceum
オシダ科 イノデ属
スギ林床など林内ではよく見られる。
①林内ではよく見られるサカゲイノデ
ツルデンダ Polystichum craspedosorum、メヤブソテツ Cyrtomium caryotideum
結晶質石灰岩の崖に生育する。
①結晶質石灰岩の崖に生育するツルデンダとメヤブソテツ
コタニワタリ Asplenium scolopendrium、メヤブソテツ Cyrtomium caryotideum
結晶質石灰岩の崖に生育する。
①結晶質石灰岩の崖に生育するコタニワタリとメヤブソテツ